まだ1歳の誕生日を迎えていないお子さんをお連れのお母さんより、様々なご相談をいただく機会があります。どのお母さんも、今すぐにでも治したい、少しでも楽にしてあげたいという気持ちがヒシヒシと伝わってきます。

中でも多いのが、乳児期と呼ばれる生後~1歳半頃までによくみられる「乳児湿疹」のご相談です。その対応方法は、体の傾向や月齢、食習慣、居住環境に応じてそれぞれ異なるものになります。しかし、お子さんの負担を軽減する為に必要な事は同じです。それは、症状に対しての対応方法について、夫婦間や家族間で同じ認識を持っているという事です。

 

そしてその認識は、大きく2つに分かれます。肌に出ている症状に対して「排泄反応に伴う症状の悪化や改善するまでの時間の経過は必要なものである」という認識と「薬害のリスクを踏まえたうえで、今の症状を抑える為に薬を使用する」という認識。この選択はどちらであっても良いとは思います。(もちろん、私は薬の使用は勧めておりません)ただ、この選択に対して身近な家族であるお子さんのご両親が同じ認識を持ち、納得しているという事は、お子さんの体や症状の負担を減らすためにはとても重要な事であります。体に元々備わっている「治癒力」を最大限に引き出すためには「お手当てという手間」と「経過するための時間」そして何よりも「心の安心」が必要となります。「手間」+「時間」+「安心」=「治癒力」なのです。これらの要件を満たして症状を見守り、ご本人の体の力で治癒へ向かうという「症状の経過」を体験した時、心身共に大きく育ち、さらには親子の関係性についても心地よい方向へと向かうことが出来るのです。

そう体堂へご質問を頂くお母さん方は、ご家族の体調に何かあった時、すぐに病院へ行き医師に任せるのではなく、その前に家庭内で自分に出来る事が何かあるのではないかという想いを抱いていると感じています。特に、乳児期のお子さんは自分の気持ちを言葉にする事が出来ない為、その気持ちを全身で表現する事になります。その本人が訴えたい事を、ネット検索しても的確な答えにたどり着くことは稀であります。それどころか多くは不安を増幅するような結果を招く事になります。

 お子さんの体の状態について親身になって心配する事は、大変な労力を費やすものです。しかし、この想いがあるからこそ、お子さんの治癒力は高まり、さらには、関わるご家族も一緒に成長できる貴重な機会となります。予期せぬ症状に対しても「大丈夫」だと受け止めて「納得」し、「安心」して見守るという事が出来た時、体に備わっている「最大限の治癒力」を促す事が出来ます。そして、そのための日々の暮らし方があると実感しています。